音楽の基礎教育・・最終目標は何か考えてみると
ピアニストや音楽家の育成のみならず、洗練された耳のある聴衆ではないかと思う。
あるロシアの大先生が私に教えてくださったのは
『良い演奏とは
1.素晴らしい演奏であること
2.それを理解できる聴衆がいること
この2点が伴わないと良い演奏にならない。』
このように考えると、自分自身のために弾く演奏というものもあるのですが、
良き聴衆がいてこそ・・良い演奏となり得るのかもしれません。
コンクールなどを考えてみると
『聴衆賞』というものもある。
これも優勝とは異なることが多々あるものの、
演奏家としてはお客様に支持されてこそ・・真の演奏家となっていくという側面もあるように思う。
しかしながら、専門家の判断というのは、私はやはり信頼できるものと考えている。
指導では、演奏法だけではなく音楽を通して精神世界に訴えかけることが肝要となる。
幼い生徒であっても十分音楽的に歌って演奏が可能であるし、最初にまず運動として指を動かして・・後で歌う・・という後付けの歌だと、どうしても音楽的に仕上げることが困難になる。
幼児期から歌心のある演奏、響きを聴く耳の育成、それとともに心の成長を育むということが求められる。
これは楽譜を読む前に歌う気持ち、体を動かすことでリズム感や音感を育てるということなのかもしれない。
もちろん、家庭音楽というものが根幹にあって、家で音楽を聴いているか、そして歌っているか・・ということが実際のピアノ演奏に直接大きく関わってくることは否めない。
現在、YouTubeやその他でも音が溢れている世界であるものの、
昭和初期のように、ラジオから流れてくる音源しか情報がなかった時代は
その音一つ一つに耳を傾けたものである。
録音技術が一般家庭に普及していなかった時には、
その1度の演奏を脳裏に焼き付けた・・そのように私の師匠が話してくれた。
今は聴きたい曲を何度でも再生できる。
いつでも聴ける。
音が溢れている。
こうした環境も音へどのように集中するか・・
もしかすると便利なことがかえってデメリットになっているかもしれない。
音がない時間、音を考える時間、などメリハリをつけた生活がより耳を鋭敏にするのかもしれない。
こうした、ピアノを始める前の音楽環境づくりというのは家庭や個人差があり、
子供たちの音楽への興味はお父様お母様の影響を色濃く反映するものかもしれない。
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